前回紹介したMorgan StanleyとFinancial Health Networkが2018年に共同で行なった調査の続きです。この調査は米国の中規模・大規模企業に勤務する1,000人のフルタイム従業員を対象に行われました。従業員の経済的不安が業務の生産性やエンゲージメントにどの様に影響を及ぼすかについて分析しています。
この調査では、高所得層(年収10万ドル超。日本円で約1500万円以上)でも52%が経済的ストレスを感じてます。
年収10万ドル以上の従業員の52%が、財務が「極端に多い」「かなり多い」「ある程度の」ストレス源だと報告しています。
上図左側の年収6万ドル未満の層では68%なので、それに比べると低下はしてますが、それでも半数以上が経済的な面がストレスと感じているのです。
年収が上がるにつれて生活水準も上がるので、経済的ストレスは所得の高い人にとっても大きな課題になっていることがわかります。
会社はこの点についても認識しておく必要があるでしょう。
年収10億円の松下幸之助が生活費に困っていた
経営の神様と呼ばれる松下幸之助は、次の様に述べています。
「私の場合、まあ年に十億円程の個人収入があります。ところが八〇%近くが税金で引かれるのです。残りの二億円をどう使うかというと、個人の生活に使うわけです。具体的な使いみちをいえば、私もまず食べていかなければならん、ということで食費がかかります。食のほかに、衣にも住にも金が要ります。
しかし何よりも大きいのは交際費です。たとえば今はもう定年退職になっている方が多いですが、私と同じころから働いている人が千人ほどいるわけです。それらの方々に、家族もいれば、孫もいます。そして孫が結婚する時代になりました。そうすると、そのお祝い、その他冠婚葬祭が多い時は月に二十や三十はあります。私の立場では一万円というわけにはいきませんから、かりに十万円ずつ包んだとしても二、三百万円は必要なことになります。年にすると、もうそれだけで、三千万円から、四千万円かかるわけです。
その他にもいろいろな交際があります。年に二回、夏と暮れには、それぞれ中元と歳暮というものが必要です。そうこうするうちに、10億円の個人収入が、みんな消えてしまう。生活費が足りなくさえなりかねません。」(出典:君に志はあるか より抜粋)
いかがでしょう?10億円稼いでも生活費の懸念はなくならないようです。
収入が高い人ほど、交際費が膨らみやすいです。また、生活水準も高いので、老後に必要な金額も多くなります。
経済的なストレスは、収入の水準に関わらず多くの人が抱える問題です。
従業員に長い間、快適に集中して働いてもらいたいと思う経営者には、金融教育経営の価値・重要性を伝えていきましょう。
金融教育経営を広げ、働く世代のお金の悩みを解消し、生産性を高めて日本の企業の成長に貢献しましょう!