アメリカの「Target(ターゲット)」は、生活必需品から電化製品、アパレル、食品まで幅広く揃う大手ディスカウントストアチェーンです。
創業者のデパート出身というルーツを活かした、おしゃれでクリーンな雰囲気と、低価格ながらファッショナブルで差別化された品揃えが特徴です。
ウォルマートと並び、アメリカの小売業界を代表する存在として知られています。
Targetには従業員の経済的ストレスが、離職率やエンゲージメント低下につながるという課題意識がありました。
そこ2021年にパイロットプログラムを導入し、以下を提供しました。
・従業員向けの金融教育の拡充
・柔軟な給与オプション(例:給与の一部を前払いできる仕組み。給与の日払い制度など)
・401(k)プランに最大5%の会社マッチングを提供
・無料メンタルヘルスサービスを組み合わせ、ファイナンシャルウェルネスのサポート。
・最低時給の引き上げ: 2020年に$15に設定。2021年には時給範囲を$15〜$24に引上げ
・他にもTeam Member Giving Fund(金融困難時の支援基金)の立ち上げや
この施策により、離職率が30%減少するという顕著な成果が得られたのです。
Target社の施策の効果が出た理由は、主に以下の3点です。
1.経済的ストレスの軽減
給与の前払い制度や教育によって、急な出費に対応できる安心感が得られ、従業員の生活不安が減少しました。
2.従業員エンゲージメントの向上
金銭的な余裕は、心理的安全性やモチベーションの向上につながります。結果として、仕事への集中度や会社へのロイヤルティが高まりました。
3.企業ブランドへのプラス効果
「従業員を大切にする会社」という認識が広まり、採用面や社内文化にも良い影響を与えました。
いかがでしょうか?
ディスカウントストア大手のTargetは、従業員を大切にし、従業員のファイナンシャルウェルビーイングの実現に向けて多くの施策を打ち出し、成果を出しました。
それは単に金融教育をするだけでなく、給与面や制度面、そして制度への経済的な補助も含めた包括的な施策です。
ファイナンシャルウェルビーイングの実現支援は、従業員の満足度に直結する要素です。
企業にとっては、離職率の低下や採用競争力の強化、さらには生産性の向上にもつながります。
今回の事例で特に顕著なのは、小売業など離職率の高い業界では、Targetのような施策はコスト削減にも直結するため、戦略的に重要な点です。
日本でも離職率の高い業種や企業には、このTarget社の事例を参考に、金融教育経営の価値を伝えていきましょう。